児童書で哲学!
もくじ
◯この本について
◯この物語のはじまり
– – – – – ここから先、内容に触れる部分あり – – – – –
◯本を読んで考えたこと
•他人はテキトーなことしか言わない
•他人と関わらずには生きていけない
•経験は”美味しいとこ取り”ができない
◯こんな生活を送りたい!”象さんの素敵な生活”とは
◯手帳に残すこと=赤い風船を作ること
この本について
図書館の児童書コーナにありました
小学生の頃に読んだ本がないだろうか、と思いつつ図書館の児童書コーナーを眺めている時に見つけた本です。
まずタイトルに惹かれて手に取り(象さんの素敵な生活って、どんな生活なのかしら…)次に装丁に惹かれました。イラストが荒井良二さんなのですね。
クリスティーネ・ネストリンガー 作
松島富美代 訳
荒井良二 絵
この物語のはじまり
人間の言葉を話すことのできる白い象は、静かに平和に暮らすため、これまでにあったことを全部忘れて一人で暮らしています。
どうやって全部を忘れたかというと(これがとてもユニークなのですが)赤い風船に思い出を吹き込んで空に飛ばしたと言います。
そうして一人で平和に暮らしている象のところに、ある日一羽の鴨がやってきます。
「今はうまくいっているのかってこと。今は静かで平和なのかしら?」
「もちろん、うまくいっているさ。ぼくは静かで平和にくらしているよ」
「もっとも夕方はちょっとだけ退屈することもあるけどね」
「もしも、思い出があれば退屈しないのにねえ。だってそうなりゃ、毎晩思い出すことができるじゃないの」
鴨と話をした象は新しい経験をしようと思い立ち、町に出かけることにしたのですが…
…というところから、この物語が始まります。
平和なのは最初と最後だけで、あとは読んでいて辛いお話なのですが…
大人向けの本のような気がしました。
本を読んで考えたこと
•他人はテキトーなことしか言わない
町に出かけた象は色々と事件を起こし、最終的に人間に捕らえられてしまいます。
鴨は本当に、なんて余計なことを言ったのだろうか!と読みながら憤りました。
鴨が何も言わなければ象は少し退屈な時もあるけれど、静かで平和な暮らしを続けることができたのに。
鴨が象に色々と言うのは象のことを思ってではなく、自分の好奇心を満たすためだけでした。
他人の言うことはテキトー。耳半分で聞くくらいが丁度いいのだろうな〜と思いました。
最後には二人は友達になるので結果オーライではありますが。
•他人と関わらずには生きていけない
象は無人島で暮らしているわけではありませんので、もし鴨が象のところへやって来なかったとしても、いずれ誰かがやってきたことでしょう。誰かが象に対して何も言わないということはありえないと思います。
「自分の信念を曲げない」「自分の軸を持つ」、ということが必要だったのかもしれません。
•経験は”美味しいとこ取り”ができない
象は楽しい経験をするために町へ出かけたのですが、辛いこともたくさん経験しました。
経験を積むには楽しいこと、大変なことの両方が必要なのかもしれません。
こんな生活を送りたい!”象さんの素敵な生活”とは
象が人間に捕らえられている場所から脱走する際、再び赤い風船が登場します。
この風船に象は自分の”あこがれ”を入れていきます。
自分で調理したちゃんとした食事、柔らかなベッド、静かな昼寝、気ままな散歩、花摘み、読書、熱いお風呂、てんとう虫とのおしゃべり…
夕方、家の前のベンチにすわって、寝る前に夕日を見ること!
なんて素敵な生活なのでしょう!
しかし象は夕方になると退屈してしまうそうです。
象は自分の思い出のつまった風船を取り戻すことで、楽しい日常を取り戻しました。
手帳に残すこと=赤い風船を作ること
私が手帳に色々なことを書いて残すことは、象が赤い風船をふくらませたことと同じかもしれない、と思いました。赤い風船を空に飛ばさずに手元に置いておく点は違いますが、自分の思い出を手帳に残すことで私は老後の楽しみを作っているのかもしれません。
あまりに小さな文字で書くと、読めなくなるかもしれないので気をつけなければ(笑)